2014年10月6日月曜日

リベラルって何だろう

世界がすごい動いている。荒れている、と表現する人もいるかもしれないけど、歴史好きな人なら、今の国際情勢が歴史的な大転換の中にあることを思って興味を持たずにいられないだろう。今から100年後の人々が今の時代をどう判断するのか、想像するだけでもかなり興味深い。

で、こういう動いてる時代には人々の政治的なスタンスのようなものも揺れがちだ。

私は不勉強な人間なので、子供のころ(というかごく最近まで)無常件に好きだったジョン・レノンのイマジンが歌われた時代背景とか、その時大統領だった悪役ニクソンが結構大変な中で頑張ってたんだなあ、とか今になってわかることも多い。

ミュージシャンの政治的メッセージにありがちな、どちらかというと感情に訴えるやり方でとにかく、暴力はいけないよね、というメッセージに共感して思考停止してしまうには社会の変化が大きすぎるのと、悪役に仕立て上げられている勢力も細かく見ていくと彼らなりの理由があったり、そしてそれは切実なものだったりするので、絶対的な悪というものは世の中には存在しないんだなあ、ということを今更思ったりする。どちらの側がより多くの人の平穏な幸せを守ったのかは、視点を変えると全く違って見えることもある。

こういう時には哲学・思想の原書をたくさん読みたい気分だけど、残念ながら今はそういう身分ではないので昔読んだこの本を引っ張り出してきても一回読んでみた。


アメリカのリベラルの歴史は、日本が平和を享受しながらぼーっとしていた時代に、当事者として安全保障という切実な問題に向き合いながら、社会に自由と寛容とフェアさを持たせようとしたアメリカ人の葛藤の歴史でもある。


そしてたぶん今の日本の左派に必要なのは、現実と哲学的な理論との折り合いをつけながら、新たな理論構築ができる哲学者なんだろうなあ。ロールズ的な。そういう意味で、ロールズがアメリカの政治において果たした役割はとても大きい。彼の理論が後世においてどれだけ批判されようと、この価値は消えないだろう。

アメリカの現代思想・仲正 昌樹


2014年7月20日日曜日

北米フードトレンド:ファーマーズマーケットという新しいトレンド

カナダに最初来たとき、なんだかファーマーズマーケット多いなー、と漠然と思っていた。日本で気づかなかったのは馬車馬のように働いたサラリーマン的生活のせいかと思っていたら、どうやら違ったらしい。

たとえば下記のリストによると
、トロントでは全部で32のファーマーズマーケットが開かれている。
http://www.torontoisawesome.com/lifestyle/community-culture/awesome-toronto-farmers-markets/

東京では、このサイトによると4つ程度しか存在してないようだ。

http://eftune.info/?page_id=247

人口も、また地理的にも東京よりはるかに小さなトロントでこれだけのファーマーズマーケットが開催されている。



2014年7月2日水曜日

集団的自衛権について意見が分かれる原因となる2つの現状認識

集団的自衛権の行使について安倍政権によって閣議決定された。Facebookを見ていると、反対している人が多い。若干賛意を示している人もあるが、少数派だ。ふつうに考えると、今回の閣議決定は道理が通っていない。けれど道理が通ってないからといって例えば20年後の日本人がこの閣議決定をどう評価するかは正直、不確実すぎてわからないな、と思う。

そして反対派、賛成派の議論のレイヤーのズレがはげしくて議論にならない感じは、脱○○の時の議論と似てるなー、とも思う。個人としてこの問題に対する結論はまだ出せてないけれど、それぞれの人々がどのような情報のインプットと思考によってそれぞれの主張になっているのか、ということを考えてみたい。(カナダにいるので、あくまでインターネット上の情報のみを根拠としており、間違っていること多々あると思います)


人々の間に意見の相違が発生するのは下記の3点が原因になる。

1.情報のインプットが違う(内容・量)
2.情報のインプットに基づく分析の結果が違う
3.立場(利害関係)が違う

2014年5月18日日曜日

北米のフードトレンド:ヒップスターとアーティザン

ヒップスター(hipster)という言葉がある。いまいち回りでカナダの人々が話している定義にあった日本語の訳がなかったので、食べ物に関する文化と合わせて書いてみよう。

このヒップスターという言葉、いろんなところでよく聞く。生息地はニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコなど大都市で、ここトロントでもかなりの数が確認できる。ヒップスターマーケティングとかいう言葉もあるようだ。こないだ町を歩いていたら、ヒップスター狙いのデザインの歯医者さんまであった。

もう一つ、日本にいたころは感じなかった北米のフードトレンドの一つがアーティザン(artisan)と呼ばれる小さなスケールのフードベンチャーがかなり増えている、ということだ。で、起業ネタとしても食べ物が結構熱い。フードではないけど、コーヒーで$25 million のファンドレイズに成功した The Blue Bottle Coffeeなどは知っている人も多いと思う。ちなみに彼らは日本への進出が決まっている。
フードスタートアップが一番熱いのはおそらくブルックリンだろう。クラウドファンディングも含めて、フードスタートアップ向けのファンディングプログラム、スタートアップ用のキッチンのレンタルサービス(北米は日本よりはるかにレストランの衛生に関するチェックが厳しい)、インキュベーションサービス、フードスタートアップが集まる屋外のマーケットなどが多く開催されている。

で、このアーティザンのスモールスケールのフードスタートアップが大流行りしているのとヒップスターはかなり関係がある。
かなり主観によってるので、正しくないかもだけれど、回りで話してるのを聞いてるとこんな感じではないかなー、と思うところを書いてみよう。

まず、ネットにある英語の定義をみてみる。
http://www.urbandictionary.com/define.php?term=hipster
Hipsters are a subculture of men and women typically in their 20's and 30's that value independent thinking, counter-culture, progressive politics, an appreciation of art and indie-rock, creativity, intelligence, and witty banter. (ヒップスターは典型的には20代から30代のサブカルチャーで、彼らは独立的な思考や、カウンターカルチャー、政治的には進歩的でアートやインディーロック、クリエイティビティ、知性,ウィットのある会話を好む。) 

2014年5月11日日曜日

ユダヤ人をユダヤ人にしているものと、日本人を日本人にしているもの

日本人とユダヤ人 (角川文庫ソフィア) という本を書いたのは山本七平さんだったけれど、最近、ユダヤ教の大きな祭日にあたるPassoverというお祭りを初めて経験したので、そのことについて書いてみよう。

ユダヤ教には、いくつか重要なお祭りがあるのだが、その中の一つがPassoverと呼ばれるものだ。その由来はWikipediaによると下記のようなものだ。



イスラエル人は、エジプトに避難したヨセフの時代以降の長い期間の間に、奴隷として虐げられるようになっていた。神は、当時80歳になっていたモーセを民の指導者に任命して約束の地へと向かわせようとするが、ファラオがこれを妨害しようとする。そこで神は、エジプトに対して十の災いを臨ませる。その十番目の災いは、人間から家畜に至るまで、エジプトの「すべての初子を撃つ」というものであった。神は、戸口に印のない家にその災いを臨ませることをモーセに伝える。つまり、この名称は、戸口に印のあった家にはその災厄が臨まなかった(過ぎ越された)ことに由来する。
これ、子供のころにアニメで学んだような気がする。あのアニメは何だったんだろう。。。今になってキリスト教やユダヤ教のことを学ぶときにあのアニメの記憶がとても役に立っている。

で、このPassoverは1週間続くのだが、その時には家族が集まって食事をする。ごちそうだ。ちなみに、この時期には炭水化物はマッツァと呼ばれる粉と水だけでできた薄いクラッカーのようなものしか食べてはいけない。エジプトから脱出するときにパンを発行させ膨らませる時間がなかったため、これを食べたことを忘れないためだという。


食事の際には各自にハーガダーと呼ばれる小さな冊子が配られる。このハーガダーにはユダヤの人々がエジプトで苦難の時代を過ごし、かつ海をモーゼが割ったりしながらエジプトから逃げ、エルサレムにたどり着く物語が書かれている。


2014年5月8日木曜日

各国の交渉スタイルの違い(中国、香港、韓国、ドイツ、米国、インド)とステレオタイプを学ぶことの価値


この記事が話のネタとしては面白いのでご紹介。駐在員の居酒屋談義ぐらいには使えるかも。

25 Fascinating Charts Of Negotiation Styles Around The World

http://www.businessinsider.com.au/communication-charts-around-the-world-2014-3


こういうのは真に受けるべきではないと思うし、実際あんまり使えないのではないかと思うけど各国の人へのステレオタイプが表現されてて面白い。残念ながら日本人はこの記事にはないが、'When Cultures Collide'という本には掲載されているようだ。


 When Cultures Collide: Leading Across Cultures: Leading, Teamworking and Managing Across the Globe / Richard D. Lewis


こういう一般化に対する危険性については著者も十分に認識しているようで、下記のように言っている。

“Determining national characteristics is treading a minefield of inaccurate assessment and surprising exception. There is, however, such a thing as a national norm.” (各国のキャラクターを定義してしまうことは不正確なアセスメントと驚くべき例外の発生の原因になる。しかしながら、そういうものは国の規範として実際存在しているのだ。)

では、抜粋にはなるが一つずつ見てみる。 

Chinese tend to be more direct than the Japanese and some other East Asians; however, meetings are principally for information gathering, with the real decisions made elsewhere. Hong Kongers negotiate much more briskly to achieve quick results.(中国人は日本人やその他の東アジアの人々よりも率直である傾向にあるが、会議の第一目的は情報の収集にあり、本当の決定は他の場所でなされる。 香港の人々は性急な結果を得るために大陸の人々よりももっと快活に交渉する。)


中でも一番強烈だなー、と思ったのが韓国人。こんなの見たら韓国の人怒っちゃうんじゃないか。

2014年4月28日月曜日

ブサイクなデザインなのに、なぜ売上が上がるのか

 お客のすごい集め方/阪尾 圭司

ウェブサイトのデザインは日本と欧米で違う、ということが言われることがある。たしかに日本のサイトのデザインはなんだかなー、と思うことも
多い。でも実際、欧米のデザインもなんだかなー、はある。


少し前に流行ったこの記事。

日本のウェブデザインはなぜこんなにも世界と違うのか?」
http://thebridge.jp/2013/11/why-japanese-web-design-is-so-different

の上記の分析は非常に示唆に富む部分がある一方で、なんとなく読んでて気持ち悪いなあ、ということを感じていた。なんでかなー、と考えていて次の二つのことを混ぜて議論しているからだ、と思った。


1. 見た目としてのデザイン

2. 使う側の経験としてのデザイン

デザインの定義をWikipediaで調べると下記の記述がある。 

<狭義のデザイン>
狭義には、設計を行う際の形態、特に図案や模様を計画、レイアウトすることで、芸術美術的な意味を含んでいる。
<広義のデザイン>人間の行為(その多くは目的を持つ)をより良いかたちで適えるための「計画」も意味する。人間が作り出すものは特定の目的を持ち、それに適うようデザイナー(設計者)の手によって計画されるのである。デザインの対象は、衣服印刷物工業製品建築などにとどまらず、都市人生計画にもおよぶ。物や環境を人が自然な動きや状態で使えるように設計する工学、あるいは、人の物理的な形状や動作、生理的な反応や変化、心理的な感情の変化などを研究して、実際のデザインに活かす学問という意味において、人間工学と共通している。考慮すべき要因には、機能性、実現性、経済性、社会情勢など、目的を実現することに関わる全てが含まれる。
こうやって考えると、上記二つのデザインは下記のようになる。

1. 見た目としてのデザイン→狭義のデザイン

2. 使う側の経験としてのデザイン→広義のデザイン、UIやUXを考えるようなこと

上記の記事は1. 見た目としてのデザインについて議論しているのだが、一部2.についても議論している。

2つのデザインについて、違いは日本人がデザインを理解していないからとか、言語の壁があって新しいテクノロジーの導入が遅れるから起きているのではなく、結果につながるからそういうデザインになっている、という部分もあると思う。で、ケースとしてはブサイク(1.狭義のデザイン)だけど、2.の広義のデザインは頑張っている、というケースはあると思う。

あるいは今あるデザインの上に業務や組織構造が作りこまれていて、もともとのデザインの発想を変えるほどの変化は変化するコストに対して割に合わないのかもしれない。どちらにしてもウェブサイトのデザインはいろんな理由があってそうなってるはずで、実際の作ってる現場からしたら「そっちのほうが売れるんだよ」とか「いろいろ考えてみて効率がいいんだよ」というところではないだろうか。逆に言うと欧米では日本のようなデザインでは結果につながらないことも多い、ということでもある。


しかしこの
1. 見た目としてのデザインの違いだが、考えてみるととても面白い。ホワイトスペースを上手に使ったデザインのあり方が日本人にとって馴染みがないわけではない。上記の記事の筆者も禅に触れているが、たとえば和食の会席料理の盛り付けからは優れたホワイトスペースの活用の技を見ることができる。ではこれがなぜウェブサイトではそうならないことが日本ではよく見られるのだろう。

さて、この本はウェブにとどまらず、紙のフライヤーなどにおいての顧客からのレスポンスをいかに上げるか、ということがテーマだ。上記の定義でいうと1. 見た目としてのデザイン(狭義のデザイン)の話だ。

2014年4月21日月曜日

中国の将来はどこに向かうのか-7つのシナリオ

 語られざる中国の結末 (PHP新書)/宮家邦彦

中国はおもしろい。なんというか人類史における彼らの圧倒的なエネルギー量の多さは、本当に目を見張るものがある。


これから中国がどうなっていくのか、さまざまな意見があるわけだけれど、もっとも大きな変数は各国の経済がどう成長するのか、ということだ。これについて、もう10年近く読んでいる「溜池通信」の吉崎さんは曖昧な言い方ではあるが「米中逆転はない」としている。


http://tameike.net/pdfs8/tame538.PDF

 思うに「米中逆転はない」と説得力のある形で断言した「経済屋さん」は、一人は新興国担当の投資家であるルチル・シャルマ氏であり、もう一人は中国研究者の津上俊哉氏である。シャルマ氏は、2012 年 11/12 月号の Foreign Affairs ”Broken BRICs”において、BRICs経済の限界に言及し、「中国が米国を抜き去るという懸念は、かつての日本のように杞憂に終わるだろう」と述べた。津上氏は 2013 年 1 月に『中国台頭の終焉』を著して、「中国の成長率は今後大幅に低下し、GDP で米国を抜く日は来ない」と予言した。このことは近著『中国停滞の核心』において、さらに明確に論じられている。2 人とも「かつては中国経済に賭けていたけれども、今は悲観に転じた」という点が興味深い。
吉崎さんは経済屋さんの頭で安保を考え、安保屋さんの頭で経済を考えることが大事だと説く。

地政学リスクが経済に携わる人たちにとってどのような意味を持つのか、不透明ではあるのだけれど不透明なだけに「本当は何が起きているのか」ということをしつこく問いながら、情報を集めていきたい。この本は、元外交官の宮家さんによる、興味深い中国に関する思考実験である。



2014年4月16日水曜日

ジェフ・ベゾスから株主へのメッセージ-1997年のAnnual Report より

今年のアマゾンのAnnual Reportの中にベゾスは創業間近の1997年のレターをつけている。2014も内容てんこ盛りなので訳そうと思ったけれど長すぎて気持ちが萎えてしまった。2013 Annual Report に1997年のレポートをのせるベゾスの気持ちとすれば、「どうだ、長期的な視点の意味がわかったか」だと思うので、1997年のものより、その部分を訳してみる。
Because of our emphasis on the long term, we may make decisions and weigh trade offs differently than some companies. Accordingly, we want to share with you our fundamental management and decision-making approach so that you, our shareholders, may confirm that it is consistent with your investment philosophy:
• We will continue to focus relentlessly on our customers.
• We will continue to make investment decisions in light of long-term market leadership considerations rather than short-term profitability considerations or short-term Wall Street reactions.
• We will continue to measure our programs and the effectiveness of our investments analytically, to jettison those that do not provide acceptable returns, and to step up our investment in those that work best. We will continue to learn from both our successes and our failures.
• We will make bold rather than timid investment decisions where we see a sufficient probability of gaining market leadership advantages. Some of these investments will pay off, others will not, and we will have learned another valuable lesson in either case.
• When forced to choose between optimizing the appearance of our GAAP accounting and maximizing the present value of future cash flows, we’ll take the cash flows.
• We will share our strategic thought processes with you when we make bold choices (to the extent competitive pressures allow), so that you may evaluate for yourselves whether we are making rational long-term leadership investments.
• We will work hard to spend wisely and maintain our lean culture. We understand the importance of continually reinforcing a cost-conscious culture, particularly in a business incurring net losses.
• We will balance our focus on growth with emphasis on long-term profitability and capital management. At this stage, we choose to prioritize growth because we believe that scale is central to achieving the potential of our business model.
• We will continue to focus on hiring and retaining versatile and talented employees, and continue to weight their compensation to stock options rather than cash. We know our success will be largely affected by our ability to attract and retain a motivated employee base, each of whom must think like, and therefore must actually be, an owner.
上記は1997年のAnnual Reportからの抜粋だが意訳してみる。

2014年4月7日月曜日

ネット系のビジネスの勝ち方として前提になっている3つのこと

twitter の創業者の一人であるビズ ストーンのインタビューの中で下記のフレーズがとても面白かったのでメモ。
ストーン氏は「保守的なビジネスマンには無謀に聞こえるだろうが、自分たちのサービスには価値があることを大勢の人に示す前にビジネスモデルを構築するのは本末転倒だ」としたうえで、「こういうものを始めるときには信じ切ることだ」と話す。ストーン氏は、まず大規模なユーザーの基盤を作り、お金の心配は後回しにすればいいと提言する。とはいえ、この哲学が最も良くあてはまるのはニューメディア(先端技術を用いた情報媒体)企業の場合であることは認めている。
これはものすごくネットっぽい発言だ。他の業種でこれをやると大変な目に合う。では、これが成り立つにはどういう要素が必要なのか考えてみた。


2014年3月23日日曜日

Google の評価制度- 評価される要素について

そろそろ関わってくれる人をどうやって評価、処遇するのかを考えないと行けないので、Business Insider にGoogleの評価制度の話を使って久しぶりの人事ネタ。
http://www.businessinsider.com/how-to-use-google-okr-employee-grading-system-2014-2#


記事によると、GoogleはIntelで使われているObjectives and Key Results(OKR)という制度をかなり初期の頃から活用しているという。

内容はいわゆる「目標管理制度」で、一口に目標管理制度と言っても会社によっていろいろな運用方法があるのでGoogleの例として取り上げてみたい。


2014年3月16日日曜日

北米で寿司を広めたのは統一教会だったらしい

知人のカナダ人のシェフから「北米の寿司って韓国のカトリック教団の影響をすごく受けてるんだよ」と教えてもらった。彼はmomofukuが出してる「Lucky Peach」という雑誌を持って来て、SUSHI USAというページをみせてくれた。(ちなみにmomokufuのLucky Peachはオンラインでは見れないという、今時珍しい雑誌でmomofukuのブランディングを考えるにあたってとても面白い。そのうち紹介したい)


2014年3月3日月曜日

ビジネスモデル まとめ1(事例)

ビジネスモデルの事例について、使いやすいようにまとめておこうと思う。ビジネスモデルとして名前づけされている事例はさまざまな観点、レイヤーの論点が羅列されているため、勉強にはなるが、なるほどなー、で終わってしまいがちだ。

それを自分が直面している課題を解決するために抜けもれなく検討できるような分類ができないかなー、と考えていた。経営効率の下記の因数分解を使って分類してみる。




2014年2月27日木曜日

TorontoLife; 日本食の掲載数はイタリアンに次いで2位

日本食って流行ってるなあ、と日頃感じるんだけど、実際どうなのか定量的にみる方法ないかなー、と思ったのでToronto Life という雑誌の'Eating and Drinking the Gourmet Guide to Ecerything ' という特集号で、"Toronto's TOP 350 Restaurants"と銘打たれた記事の日本食レストランの数を数えてみた。(ちなみにそのうち7件がラーメン専門店)

ちなみにこの雑誌、ニューヨークで言えばニューヨーカーみたいな位置づけの雑誌で(異論あるかもだけど)、こういうレストランの特集号はトロントの「食にうるさい」"foodie"と呼ばれる人たちがたくさん読んだと思われる。


レビューの基準は下記。

http://www.torontolife.com/toronto-life-restaurant-reviews-explained/


2014年2月20日木曜日

人生を組み立てるための戦略論

世界を変えたいなら一度"武器"を捨ててしまおう・奥山真司

「戦略論の原点」がとてもよかったので、久しぶりに奥山さんの本を買ってみた「戦略論の原点」ほどの感動はなかったのと、戦略論のエッセンスを集めた本(それがこの本の良さなのだが)であるため、思考の深さのようなものをあまり学習することができなかった。戦略論の原点を読んでしまっていたために、新しい発見もあまりなかった。 よく言えば、身近な事例で戦略論について非常にわかりやすく理解できるのだが、悪く言えば居酒屋談義っぽさがあるという感じだろうか。


それにしても奥山さんのこの領域の翻訳本の多さは驚きだ。日本には他に人材がいないのか、とも思うのと同時に奥山さんのこの分野に対する情熱のようなものを感じる。


さて、この本は戦略論を使って人生や事業をどう考えたらいいのか、という本だ。

2014年2月18日火曜日

戦略論の原点

戦略論の原点/ J.C. ワイリー、Joseph Caldwell Wylie

これはほんとおもしろい本。時間がない人は最後についている奥山さんの解説だけでも読んだらよいのではないかと思う。


地政学系の戦略論をどう経営に生かすのか、ということについていまいちピンと来ていなかったのだけれど、この本でそこが非常に明確になった。


ワイリーは歴史上のさまざまな戦略家の中で、次の7人だけが戦争の理解に貢献し、そのアイディアの力によって影響も与えたと言う。(孫子が入ってないが奥山さんの解説によるとリデルハートがかなり孫子に影響されているので、ワイリーも間接的に影響を受けているという)


1. マキャベリ

2. クラウゼヴィッツ( 陸上理論)
3. マハン(海洋理論)
4. コーベット
5. ドゥーエ( 航空理論)
6. リデルハート
7. 毛沢東(ゲリラ戦理論)

ワイリーは、戦略論に存在するこれらのさまざまな理論を統合する試みにチャレンジしている。



2014年2月6日木曜日

戦略論:孫子とクラウセヴィッツの違いとソフトバンクの孫さん

米陸軍戦略大学校テキスト 孫子とクラウゼヴィッツ /マイケル・I・ハンデル

孫子とクラウセヴィッツの違いを考えることで、より戦略に対する理解を深める、という本。戦争における戦略の本なので、経営に生かせない部分もたくさんがあるが、個人的には、孫子の有名な「戦わずして勝つ」という方法論(?)に対する現実的な突っ込みがもっとも大きな発見だった。


<欺瞞について>
クラウセヴィッツと孫子を比較したときに、大きな違いの一つは「欺瞞」に対する態度だ。「欺瞞」とは「インテリジェンス・情報」を使って、相手を欺くことでいかに自分にとって有利な状況を作り出すか、ということだ。これに対する認識が二人は違う。孫子は「欺瞞」を非常に評価するのに対して、クラウセヴィッツはむしろ「非重要なもので逆効果」であり、また掛けであり他に方法がないときの最終手段だと言う。これは孫子の「闘わずして勝つ」という方法論に対する理想と現実をよく説明している。孫武がこの考え方をもっとも理想的なものとして位置づけていたのに対し、クラウゼヴィッッはそれはほとんど例外的なものであり、実際問題として戦闘に代わり得るようなものは普通存在しないと考えていたようだ。
孫武の「武力行使は最後の手段である」という主張は、当時の中華の地に広まっていた儒教やそれに大きく影響を受けていた政治文化の裏返しともいえるであろう。フェァバンク教授の説によれば、孫武もまた初期の儒教の影響を受けており、社会的な風潮における精神性の優位という価値観を共有していたであろうとしている。この考え方(ある種のドクトリン)は、戦国時代を通じて世に出た諸子百家の思想と同様に、中国後代において出現する中国の王朝それぞれに引き継がれ浸透していくことになった。肉体を使う戦いについての栄光を認めることなく、儒家の考え方としては君子たるものは、自己の人格を形成するために古典教養に励み、ついには物理的な力によらずして目的を達成するものであるとする。この考え方が、皇帝の人としてのあり方を定め、この考えに則ることが皇帝の理想型であると位置づけ、古典においてもその旨が散見される。(P81) 
しかしながら、これは、西洋にくらべて中国史において武力戦が少なかったということではなく、中国における戦争の論理が、西洋と大きく異なるということでもない。中国では、実際のところ、理想と現実、理論と実際の間に大きなギャップが存在していたにすぎないのである。(P82)
残念なことに孫武(リデル・ハートも含め)は、最高と思われる間接アプローチをどのように見極めて実践するかについては具体的な説明をしていない。間接アプローチはいったん敵に見透かされてしまうと、逆に直接アプローチの脅威に曝されてしまう。つまり成功したものすべてが間接アプローチに分類されてしまうことになるのである。これは老練なビジネスマンが息子に対して次のようなアドバイスをするようなものである。「よいか息子よ、お前に成功の秘訣を教えてあげよう。安く仕入れて、高く売るのだ。そうすれば成功をおさめることができる」。しかし、このようなある種の自明の理が有する問題点は、抽象的すぎて実際の道具として用立てることができないところにある。(P87)
ここで言っている間接アプローチとは欺瞞も含む実際の戦闘以外の方法論のことを指すようだが、最後のパラグラフはリーダーシップ論で言われていることと似ている。例えば、後付でいろんなことが言えるけれど、成果に対する貢献度の高さをリーダーシップにおくことはなんとなくそれっぽいが、本当はどうかわからない。後付で成功したものの要因すべてをリーダーシップに起因させることも可能だ。

2014年1月27日月曜日

ジェフ・ベゾスの長期的な視野とグローバリゼーション

ジェフ・ベゾス 果てなき野望―アマゾンを創った無敵の奇才経営者/ブラッド・ストーン

この本、原書で読んでいるのだが以前のエントリーで書いた、長期的に考える、ということの意味が下記の内容からよくわかる。(日経ビジネスオンラインから日本語を抜粋)


http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140117/258370/?rt=nocnt

iPhoneはすばらしい製品であり、ユーザーはジョブズが設定した値段を喜んで支払う。何も問題はないように見えるが、ベゾスに言わせればそれが失敗なのだ。つまりこの分野でiPhoneがそれだけの利益を上げられたのであれば、利益率を少々削れば価格優位な製品が作れると広く認識させてしまった。グーグルがAndroid OSを無料でメーカーに提供開始すると同時に、スマートフォン市場は一気に激烈な競争の中に投げ込まれた。アップルは天文学的なキャッシュを社内に積み上げることには成功したが、スマートフォンのシェアではあっという間にAndroidに敗れた。
通常、価格競争はある分野で優位に立った企業に対して後発企業が仕掛けるのが通例だ。しかしアマゾンは、「先制価格戦争」あるは「予防的価格戦争」を仕掛ける。新事業のスタートの際に意識的に赤字覚悟の料金を設定する(ちなみに、その時点で競争相手は存在しないから被害を受ける相手もいないので反トラスト法が定める不正競争行為に該当しようがない)。
ここから何がわかるか。


2014年1月6日月曜日

スタバのコーヒーは安すぎる?-脳波で正確な値付けを可能にする

脳波を使って、適切なプライシングを図るということを研究している人がドイツにいるらしい。これが本当なら、かなり革命的だ。

Is Your Coffee too Cheap? Using Brainwaves to Test Prices
http://www.spiegel.de/international/zeitgeist/scientist-uses-brainwaves-to-test-ideal-prices-for-products-a-926807.html

上記の記事によると、例えばスターバックスのコーヒーは€1.80で売られているが、適正価格は€2.4 である、とKai-Markus Müllerさんは主張している。適切な価格の時には脳の活動がもっとも活発になり、逆に10セント(低すぎる)や€10(高すぎる)などのプライシングでは、即座に顕著な反応が見られるという。



2014年1月3日金曜日

アマゾンの凄まじいPR戦略-悪評さえも戦略通り

Amazonz関連書籍では最新のものであるだろう下記の本の作者、ブラッド・ストーンのパネルディスカッションの映像がYoutubeにアップされていた。みていてPR戦略について思うところがあったのでご紹介。

ジェフ・ベゾス 果てなき野望―アマゾンを創った無敵の奇才経営者/ブラッド・ストーン


ジェフ・ベゾスはきっと徹底的なリアリストであると同時にひどい偏執狂でもあるのだと思う。ただ、ビジネス展開から感じる彼のビジョンのスケールの大きさは、スティーブジョブズも含めた他のテック系のビジネスリーダーたちを凌駕している。同時に「うまいなー」と思わせてくれることが多い。今回はPRについて。